麒麟掌 
英題;FIST OF UNICORN ( UNICORN FIST / UNICORN PALM / BRUCE LEE & I )
作品データ
星海(STAR SEA)影業有限公司作品
監督;唐廸
武術指導;ブルース・リー
キャスト;小麒麟 金霏 倉田保昭 池漢載 黄仁植 魏平澳
公開;1973年3月1日
年間興行成績;29位
※資料によっては若干のデータの違いがあります。



ブルース・リーの親友である小麒麟の初主演作品。香港映画界への橋渡しに尽力してくれた小麒麟(ユニコーン)に恩義を感じていたブルース・リーは、名前を利用されることを承知の上で本作の武術指導を買って出た。キャスティングの一部にも影響力が感じられる。製作当初のタイトルは「獨霸拳王」といい、陳惠敏(チャーリー・チャン)も準主役級でキャスティングされポスターも作られたが、後に改題され陳惠敏の代わりに倉田保昭が起用された。
72年5月には香港ペニンシュラホテルで製作発表パーティー及び記者会見が盛大に行われブルース・リーも出席している。(この模様は星海影業によって撮影され、ブルース・リーの死後
「ありし日のブルース・リー」という悪趣味な短編にB・ティンペイのナレーションとともに収録される。)同年8月から撮影開始。
完成されたプリントにはブルース・リーが殺陣の指導をする場面や、小麒麟とのフォトセッションなどの映像が
何の脈絡もなく強引に挿入され、作品自体の出来の悪さや主役の華の無さと相俟って見るものを困惑させる怪作となっている。様々な事情から公開日数わずか10日だったにも関らず、年間興行成績29位に食い込んだ本作の公開以後、ブルース・リーと小麒麟の関係は微妙なものになったと言われている・・・。
なお公開当時の本作には、現在英語版ビデオなどで観られるものよりも
ブルース・リーの登場場面が多かったの情報もある。余談だが陳元龍(若き日のジャッキー・チェン)の出演場面も確認できる。



ブルース・リーと私 池漢載 黄仁植
倉田保昭 右から3人目が成龍 魏平澳
「麒麟掌」のポスター等での監督は”夏谷”なる人物名がクレジットされているが詳細は不明。
監督の唐廸はオープニングでユニコーンの両親を殺したオヤヂだ。

またここには紹介していないが旅芸人の一座の若者として火星が出演している。



英語版ビデオ

オリジナルは80年代にイギリスで発売(またはレンタル)されたものらしいがパッケージなど詳細は不明。オープニングには"BRUCE LEE AND I"とクレジットされるが、直後に"麒麟掌 FIST OF UNICORN"というオリジナルのタイトルクレジット(ブルース・リー写真入り)がそのまま登場する。英語吹き替え。スタンダードサイズ。
問題のブルース・リー登場場面がすべて収録されている。導入部の小麒麟が訓練するシーンにフォトセッションでポーズをとる笑顔のブルース・リーが数カット登場。直後の切り絵調タイトルバックに続いて、屋外で武術指導(蹴りを出したり投げられたり)を行う場面が3カット。続いて再びフォトセッションでユニコーンとポーズをとるブルース・リーにカメラがズームする。劇中では以上だが、本編終了後のエンドクレジット(北京語版ビデオにあるテロップは出ない)でまたしても坊主頭の少年(マンホイ)とセットで戯れるブルース・リーが登場する。よく見るとその後ろを通り過ぎる倉田さんの姿も確認できる。余談だがマンホイと戯れる場面を収録した画質の悪いビデオを"イップマンと抱き合うブルース・リー"の映像といって売ろうとした業者があったらしい。オモシロイが悪質である。


武術指導シーン:名前どころか盗撮映像まで本編に挿入されるとは...。
訴訟問題にまで発展したのも頷ける。



北京語版ビデオ

台湾製。INTER CONTINENTAL VIDEOというメーカーから販売されていた。中国語字幕入り北京語き吹替え。スタンダードサイズ。
上記英語版と基本的には同じだが、冒頭のブルース・リーの映像はカットされておりエンドクレジットのみの登場となっている。しかも"STAR SEA SCORP"というテロップが大きく画面を覆っていて、非情に邪魔である。
※台湾製なのに裏ジャケの表記は英語のみ...正規版かは疑問である。


問題の映像。イップ・マンにはとうてい見えないと思うが...。



独語版ビデオ

CONTRAST VIDEOというメーカーから販売(またはレンタル)されていた。独語吹き替え。ワイドスクリーン。
これは上記2本とはオープニングの編集が違い、冒頭に"BRUCE LEE UND ICH"の独語タイトルで独自に編集したクレジットが流れる。ブルース・リー登場場面は英語版と同様だが、残念なことに本編終了とともに切られているためエンドクレジットの映像は収録されていない。マスターは上記に比べてクリアで発色も良い。またシネスコサイズなので、ブルース・リー登場場面を隅々まで拝めるという点で非常に貴重なものである。


VERY RARE !!!FIST OF UNICORN ”WIDESCREEN” CAPTURE!!!


仏語版ビデオ

「ブルース・リー超全集」で紹介されるも詳細不明。フランス版ビデオはノーカット&シネスコサイズで収録されている作品が多いだけに、早急な発掘作業が望まれる1本だ。
余談だが倉田保昭の「和製ドラゴン放浪記」では、ブルース・リーと共演しているにも関わらず、「麒麟掌」に関してはほったらかし状態である。星海が台湾の黒社会系の映画会社であるため無理矢理(ノーギャラ出演させられた事が原因だと言われている。
仏語タイトルは"LE COMBAT DU DRAGON"
(Text by Route246)